「泣くとスッキリする」
そう感じたことがある方は多いと思います。
映画を見て泣いたあと。 音楽を聴いて涙が出たあと。 誰かの優しさに触れて、胸がじんわりしたあと。
なぜか頭の中が静かになったり、肩の力が抜けたり、気持ちがほっと軽くなることがありますよね。
これは、単なる思い込みではありません。
心理学や生理心理学の研究では、
感動する映像を見て情動性の涙を流したあと、
疲労感が軽くなったり、
自律神経の緊張が落ち着く方向の変化が見られたという報告があります。
ここで大切なのは、涙にも種類があるということです。
玉ねぎを切った時に出る涙と、心が動いて出る涙は、同じ涙でも意味が違います。
ストレス解消に関わりやすいのは、感情が動いて自然に出る涙です。

感動して泣く時、脳は悲しんでいるわけではありません。
張りつめていた感情がゆるみ、
我慢していた力が抜け、
自律神経が少しずつ休息モードへ切り替わっていくことがあります。
特に、普段から頑張りすぎている方ほど、
泣いてはいけない。 弱音を吐いてはいけない。 もっと頑張らなければいけない。
そんなふうに、知らないうちに心と体を張り詰めています。
その状態が続くと、脳と神経はずっと緊張モードになります。
肩や首に力が入る。 眠りが浅くなる。 胃腸が乱れる。
小さなことでもイライラしやすくなる。
こうした反応は、精神的に問題があるからではありません。
脳と体が、ずっと緊張を続けているサインです。
その意味で、感動の涙は、脳と神経に
「もう少し気持ちを楽にして」
と伝えているんです。
ただし、誤解してほしくないのは
感動の涙が、すべての人にとって最強のストレス解消法というわけではありません。
泣けば必ずスッキリする。 涙を流せばストレスが全部消える。 泣けない人はストレス発散が下手。
そういう話ではありません。
泣いた後に気分が楽になる人もいれば、逆に疲れてしまう人もいます。
また、怒りや恨みを何度も思い出しながら泣く場合は、かえって脳の興奮状態が強くなることもあります。
大切なのは、涙の量ではありません。
泣いた後に、
肩の力が抜ける。 胸のつかえが軽くなる。 頭の中が穏やかになる。 少し安心できる。
こういう感覚があるかどうかです。
おすすめは、無理に泣こうとすることではなく、心が安らかになる時間を作ることです。
感動する映画を見る。 心が温かくなる音楽を聴く。 人の優しさに触れる話を読む。
これだけでも十分です。
ストレス解消とは、感情を爆発させることではありません。
脳と神経を、緊張モードからリラックスモードへ戻してあげることです。
感動で流す涙は、そのための有力な方法のひとつです。
大切なのは、自分の心と体が平穏でいられる時間を、日常の中に取り戻していくことです。