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「お笑い」が脳に与える素晴らしい影響とは?

そういえば最近、
 
仕事や家事に追われて、ほとんど笑ってないなと感じることはありませんか?
 
実際に、心や体の不調を抱えている方の中には、
 
「毎日が忙しくて楽しむ余裕がない」 「ストレスばかりで気持ちが張りつめている」
「以前は好きだったお笑いやテレビもあまり見なくなった」
 
と話される方も多くいらっしゃいます。
 
実は「笑うこと」は、単なる気分転換ではありません。
 
医学的にも脳科学的にも、笑いは脳と体にさまざまな影響を与えることが研究されています。
 
まず大切なのは、笑いは脳の広いネットワークを使うということです。
 
お笑いを見て笑うとき、脳はただ「面白い」と感じているだけではありません。
 
 
言葉を理解する。 文脈を読む。 予想とズレを感じる。 意外性に気づく。 感情が動く。 表情筋や呼吸が変わる。
 
 
このように、認知、感情、運動、自律神経が同時に関わります。
 
脳科学の研究では、ユーモアや笑いには、前頭前野、側頭葉、辺縁系、報酬系などが関わると考えられています。
 
簡単に言えば、お笑いを楽しむには、
 
意味を理解する脳 感情が動く脳 快感を感じる脳 体を反応させる脳
 
が連動する必要があるということです。
 
 
特に注目したいのが、報酬系です。
 
ユーモアを感じると、側坐核(そくざかく)などの報酬系が関わることが報告されています。
 
側坐核は脳の「報酬中枢」の一部で、喜びや快感、やる気、学習された報酬への期待などに関係する重要な領域です。
 
 
つまり、面白いものを見て笑うことは、脳にとって「楽しい報酬」として働きやすいということです。
 
さらに、社会的な笑いに関するPET研究では、笑いによって内因性オピオイドが放出されることが示されています。
 
内因性オピオイドとは、体の中で作られる快感や鎮痛、安心感に関わる物質です。
 
この研究では、友人と一緒にコメディ動画を見て笑ったあと、視床、尾状核、前部島皮質などで内因性オピオイド放出が確認されています。
 
ここで重要なのは、笑いは「ひとりで面白い」だけでなく、「誰かと一緒に笑う」ことで、安心感やつながりにも関係しやすいということです。
 
これは臨床的にも非常に大事です。
 
慢性的な痛みや不調が続く方は、脳と神経が警戒モードに入りやすいことがあります。
 
この状態では、扁桃体が過敏になり、不安や緊張が強くなりやすいです。
 
一方で、笑いはストレス反応をやわらげる方向に働く可能性があります。
 
2023年のシステマティックレビューとメタ解析では、自発的な笑いは通常活動と比べてコルチゾールをより低下させることが示されています。
 
コルチゾールは、ストレス反応に関係するホルモンです。
 
もちろん、笑えばすべての病気が治るという話ではありません。
 
でも、笑いがストレス反応をやわらげ、心身のウェルビーイングを支える可能性があることは、医学的にも研究されています。
 
また、笑い療法に関する研究では、唾液中コルチゾールの低下や心理的ストレスの軽減が報告されています。
 
ラフターヨガに関するレビューでも、ストレス、抑うつ、不安、コルチゾール、心理的ウェルビーイングなどに良い影響が示された研究があります。
 
ただし、ここは正確に伝える必要があります。
 
お笑いを見ることや笑うことは、医療の代わりではありません。
 
うつ病、不安障害、慢性痛、自律神経症状などが強い場合は、必要に応じて医療機関の診察や治療が必要です。
 
笑いは治療の代替ではなく、生活の中で脳と体を整える補助的な習慣として考えるのが適切です。
 
では、なぜお笑いが健康に役立つ可能性があるのか。
私は大きく5つあると思います。
 
❶ 脳の報酬系が働きやすい
面白いと感じることで、脳の快感や動機づけに関わる回路が働きます。
 
これは、気持ちが沈みがちなときに、脳へ「楽しい刺激」を入れる意味があります。
 
 
❷ ストレス反応がやわらぎやすい
笑いによってコルチゾールが低下する可能性が報告されています。
 
ストレスが強いと体は警戒モードに入りやすくなりますが、笑いはその緊張をゆるめるきっかけになります。
 
 
❸ 呼吸が深くなりやすい
笑うと、自然に息を吐きます。
 
大きく笑ったあとに、ふっと体の力が抜けることがありますよね。
 
これは呼吸、自律神経、筋緊張にも関係します。
 
 
❹ 人とのつながりを感じやすい
誰かと一緒に笑うと、安心感や親近感が生まれやすくなります。
 
社会的な笑いは、脳内の内因性オピオイド系にも関わることが示されています。
 
 
❺ 痛みや不安に意識が向きすぎる時間を減らせる
慢性痛では、痛みそのものだけでなく、痛みへの注意、不安、予測が症状を強めることがあります。
 
お笑いを見ている時間は、痛みや不安から注意が少し離れます。
 
これは「痛みを無視する」ということではありません。
 
痛みに支配される時間を減らし、脳に別の安全な体験を入れるということです。
 
 
ここで大切なのは、無理に笑おうとしないことです。
 
「笑わなきゃいけない」 「楽しまなきゃいけない」
 
となると、それ自体が負担になります。
 
笑いは義務ではありません。
 
まずは、少し気がゆるむもの、安心して見られるもの、自分に合ったお笑いを選ぶことが大切です。
 
漫才でもいい。 落語でもいい。 コントでもいい。 動物動画でもいい。 昔好きだった番組でもいい。
家族や友人とのちょっとした会話でもいい。
 
大事なのは、脳と体が「少し安心できる時間」を持つことです。
 
健康づくりというと、食事、運動、睡眠ばかりに目が向きます。
 
もちろんそれらは大切です。
 
でも、笑う時間が減っている人は、心身の余白も減っているかもしれません。
 
お笑いは、脳の報酬系を働かせ、ストレス反応をやわらげ、人とのつながりを感じさせ、呼吸や自律神経にも良い影響を与える可能性があります。
 
つまり、笑いは単なる娯楽ではありません。
 
脳と体にとって、安心と回復のスイッチになり得る大切な刺激です。
 
最近、笑っていないなと思ったら、難しい健康法を増やす前に、まず5分だけでも笑える時間をつくってみてください。
 
笑いは無料で、手軽で、副作用の少ないセルフケアのひとつです。
 
体を整えたいなら、笑える時間を生活の中に取り戻す。
 
それも立派な健康習慣です。
 
笑いとユーモアは複数の脳ネットワークに関わること、ユーモアが側坐核などの報酬系を動かすこと、
 
社会的な笑いで内因性オピオイド放出が示されたこと、笑いがコルチゾール低下と関連することが報告されています。
 
医療の代替ではなく、ストレス軽減やウェルビーイングを支える補助的習慣とて扱うのが安全です