「コーヒーにMCTオイルを入れると痩せるんですよね?」
こう聞かれることがあります。
最近はSNSでもよく見かけるので、
「飲むだけで脂肪が燃えるなら試してみたい」
と思うのも自然なことではないでしょうか?
ただ、ここは少し冷静に見た方がいいところです。
MCTオイルは、中鎖脂肪酸(炭素数が6〜12個程度の比較的短い鎖を持つ脂肪酸で、ココナッツオイルやパーム核油に多く含まれ、消化吸収が速い特徴があります)という脂質を多く含む油です。
一般的な油に多い長鎖脂肪酸(炭素の鎖が長く、消化の際に胆汁や酵素を必要とし、体内でゆっくり吸収される脂肪酸)よりも消化吸収が早く、体の中でエネルギーとして使われやすい特徴があります。

この点だけを見ると、
「じゃあ脂肪になりにくい」
「脂肪燃焼にいい」
と思われがちなんですよね。
実際、海外の研究やメタ解析でも、MCTを長鎖脂肪酸の油と置き換えた場合、体重や体脂肪がわずかに減る可能性は報告されています。
ただし、その効果はごくわずかです。
大切なのは、MCTオイルを摂取すれば痩せるのではなく、今まで使っていた油や余分なカロリーと置き換えたときに、少し有利に働く可能性があるということです。
ここを間違えると、健康に良いと思って毎日スプーンで足しているつもりが、ただカロリーを上乗せしているだけになることもあります。
MCTオイルも油です。
小さじ1杯でもカロリーはあります。
つまり、体に良さそうな名前をしていても、食べすぎれば体脂肪として蓄えられる可能性は普通にある、ということなんですよね。
脂肪燃焼を考えるなら、本当に見るべきなのはMCTオイル単体ではありません。
睡眠が乱れている。
夜遅くに食べる。
運動量が少ない。
ストレスで甘い物が増える。
こうした生活習慣の土台が崩れていると、MCTオイルだけ頑張っても体は変わりにくいです。
体は、ひとつの食品で急に切り替わる機械ではありません。
食事、睡眠、筋肉量、活動量、自律神経、ストレスの状態まで含めて、少しずつ代謝の流れが作られていきます。
もし使うなら、まずは少量から。
お腹がゆるくなる方もいるので、いきなり大量に入れない方が安心です。
そして、バターやドレッシング、炒め油など、今まで使っていた油の一部と置き換えるくらいが現実的だと考えています。
でもMCTオイルは悪者ではありません。
魔法の脂肪燃焼オイルでもありません。
「何を足すか」より、
「何を減らすか」
「どんな生活リズムに整えるか」
ここを見る方が、体は変わりやすくなります。
まずは、朝のたんぱく質、日中の歩く量、夜の食べすぎ、睡眠の質。
このあたりを整えた上で、MCオイルを必要に応じて使う。
それくらいの距離感が、いちばん安全で続けやすいのではないでしょうか。